壱之巻 ハゼオ君がいつものように海の中を散歩していると、綺麗な色をしたエビコさんが一生懸命自分の家を作って いました。なんて綺麗なエビなんだ!次の日もハゼオくんはエビコさんを見に行きました。 毎日毎日、エビコさんは働いていました。 1週間がたったある日、いつもは珊瑚の陰に隠れ、 遠くで見ていただけなのですが、ハゼオ君は勇気を振り絞り、 エビコさんに声をかけてみました。 「エビコさん!こんにちは」 エビコはびっくりして、あわてて、家の中に入ってしまいました。 ショックのあまりハゼオは12時間もご飯を食べることが出来ませんでした。 次の日、気になったハゼオはエビコの家の前を通りました。 いつものように働いているエビコを見て安心しましたが、こちらの方を見ることも無く、エビコは働いていました。 ハゼオは嫌われたのです。 それでも毎日エビコの家の前を通っていました。エビコもハゼオを1度も見ることが無く働いていました。 ある時エビコが働いていると、大きな体をしたタイのタイ吉がこっそりと近づいている姿が見えたのです。 タイ吉はエビが大好物でエビコを狙っていたのです。ハゼオは大きな声で 「エビコさんあぶないー!」 叫びました。エビコは驚いて家の中に、タイ吉は諦めてかえっていきました。 ハゼオは家の前までいって言いました。 「エビコさん、もしかしたら君は目が見えないのでは?」 「そう、私はあまり目が良くないのです。」 ハゼオはエビコが俺のことを無視していたのではなく、気づかなかったのだと確信しました。 そこであらためて、ハゼオはエビコに言った。 「僕と付き合ってください」 「・・・・・」エビコは何答えない 「どうして? 僕はいつも君を見ていた。僕がハゼだから?だからなの。それとも他 に好きな魚がいるの?」 「他に好きな魚なんていないわ。あなたがハゼだからでもない(少しある) あなたはいつも私を見ていてくれる・・・ でも私はあなたを見ることが出来ないの・・・・」 ハゼオは泣いた! ハゼオは、エビコの事を思うと涙が止まらない!海の水が涙でしょっぱく感じた。 ハゼオは考えた!(海にはこうやって淋しい思いをしている魚が多いから、海がしょっぱいんだ)と恋に泣いたり、 人生に泣いたり、ゴミが多くて悲しくなったり、ハゼオはこれから、タバコのポイ捨ては、やめようと思った。 そしたら、少しは海も甘くなるかな!? 次の日ハゼオは、エビコに会いに行った。振られても負けないという気持ちで、そしてエビコがおどろかないよう に、小さな声で 「おはよう!今日の調子はどう?」 「今日はとてもいい日よ!なぜって!ハゼオ君が会いに来てくれたから!」 「あ・ありがとう」 「ハゼオ君は今日は何をしているの?」 「今日は・・・(が〜ん お・俺はぷー太郎だ!エビコさんは、こんなに家を造る為に一生懸命働いているのに)・・・ 今日は、仕事・・・休みなんだ!ハハハハハ・・・」 ハゼオは、心の中で泣いた! ハゼオは仕事をしないといけないと思った。そうだ!空き缶がいっぱい落ちているから、これを拾ってリサイクル に出そうっとその日からハゼオは、がむしゃらに働いた! 次の日も次の日も・・ある日、友達のミジンベニハゼのベニオが 「その空き缶を1つくれないか?」 「何に使うんだい!」 「ちょうど、いいおおきさで、穴があいているから、 それを家にしようと思うんだ!」 「なるほどな〜だったら、あげるよ!」 「ありがとう」 ハゼオは、今日はいいことをしたと思った。そんな、ミジンベニハゼのベニオは、伊豆に、引っ越していったらしい? そして又次の日も次の日も、ハゼオは働いた。いつものように 空き缶を集めていると・・・ 「エ・エビコさん・・・」エビコが、親友のエビ太郎と楽しそうに笑っていた!手を取り合い・・・(エビコさんは好きな 魚が、やっぱりいたんだ。それも親友のエビ太郎なんて、それにエビ同士がいいに決まっている。) 「エビ太郎久しぶり!」 「オー!ハゼオじゃないか」 (ハ ハゼオさん・・)エビコ 「エビコさん・・エビ太郎、幸せになあ〜〜!」ハゼオは笑顔で立ち去った。 泣くな・泣くなと言い聞かせながら・・・ でも、ハゼオはエビコの事をやっぱり忘れる事ができない・・ ハゼオは、なぜ俺じゃダメなんだっと考えた。そう2年前、ハマクマノミのクマノ美ちゃんの時もそうだ! あの子はアイドルをめざしていて、 ・・・・・2年前・・・・・ ハゼオは役者を目指し、座間味島から、本島に上島(上京)してきた、フィッシャーズスクールという、劇団に入り 日々、役者の勉強をしていた。そこで、ハマクマノミのクマノ美と出会ったのだ。 いつも頑張っているハゼオの姿を見て、クマノ美は恋をしていた。 そして、同期である、ネジリンボーのジンと3匹でいつも 夢を語っていた!今日もオーディションの帰り 「ハゼオはどんな役者になりたいんだ?」 「俺は、舞台にお笑い・司会者・映画スターもいいな」 「すごい〜ハゼオなら きっと大スターになれるはずだ!俺が保証する・・クマノ美 は?」 「わ・わたしは グラビアのアイドルかな!ハゼオ君のように才能も無いし、1アイドルとして頑張る! そういうジン君は?」 「俺か、俺は歌手になりたいんだ、これはそのための準備期間なんだよな! いつか、きっと魚道館をいっぱいにしてやる!!」 そして、いつものように別れた。そして、ある日ジンのデビューが決まった。 中国に伝わる、海遊記という舞台の主役だ!3匹は喜んだ・・・・朝まで飲んだ・・・ しかし次の日からハゼオは、劇団に来なくなったのだ! ハゼオが劇団に来なくなってから3週間がたったある日、クマノ美がハゼオのアパートに心配して見に行くと、 部屋には、ハナミノカサゴのハナコがいた。ハナコは劇団の後輩で 今はAVアイドルとして時の人となっていて、 クマノ美のライバルだった頃もあった! 「ハゼオさん何してるの?皆、心配してるわよ」 「何しに来たんだよ! 皆ジンが主役をとって俺の事を笑い者にしていたんだろ」 「何言ってるの、ジンが主役を取った時一緒に喜んだじゃない」 「喜んだよ、でもなあ、あいつは歌をやりたいって言っていた。そんな奴に俺は負けたんだぞ! 俺はあの舞台に掛けていたんだ!おまえに解るか?」 「解っているは、誰よりも頑張っていたのをいつもあなたを見ていたから・・・」 「・・・」 「ずっと好きだったのに。ハゼオさんがそんな魚だったなんて・・・それもハナコとこんなことして、・・・ もっと、もっとがんばってよ!諦めるのが早いわ!私も頑張る、だから・・・サヨナラ!!・・」 「クマノ美・・・」それから彼女とは会っていない、いや正確には俺はいつも彼女を見ていた。 そうダイビング雑誌の中で彼女は今をときめくトップアイドル、葉麻クマノ美(芸名)として ・ ・・・・現在・・・・・ ハゼオは思った諦めるな。もしかしてエビコさんとエビ太郎は兄弟かもしれないじゃないか(それは無い)、 それに俺は仕事に忙しくずっと会いに行かなかった、明日2人に会いに行こう。 次の日ハゼオは、エビコとエビ太郎に会いに行った。 「おはよう!エビ太郎は?」 「・・・・・・」 エビコは泣いていた。 「どうしたんだい。泣いてちゃわかんないだろ。」 「ずっと、タイ吉に狙われていたの。だから幼なじみのエビ太郎君が私を守ってくれていたんだけど・・・ 6時間前にタイ吉が来て・・・エビ太郎君をエビ太郎君を・・・・」 「エビ太郎〜〜〜!!!」 ハゼオは泣いた!そして決めた!俺がエビコさんを守る事を 「エビコさん明日から俺がエビコさんを守るから」 「だめよ!ハゼオ君までタイ吉に・・」 「大丈夫!必ず守るから」 「ダメ!困るは」 断られてしまったハゼオは諦めずに次の日も又次の日もエビコの所に行った。 でも決して家の中には入ろうとしなかった。エビ太郎の事があったからと、自分へのケジメだと決めて! エビコを守ると決めたハゼオは、テントを張ってタイ吉が来るのを待った! そして終にタイ吉が現れた、ゴーっという音がした、大きな目!大きな体!大きな口を開けて、テントが飛んだ、 ハゼオは吸いこまれそうになった!その時 ハゼオは叫んだ 「エビコ、家の中へー!」 エビコは殺気を感じたが家の中には入らなかった 「何をしているんだ、早く家の中へー」 「いやよ!ハゼオさんも中へ入って」 「先に入ってくれ そしたら俺も・・」エビコは家の中へ、それを確認したハゼオも ・・・その時タイ吉がハゼオに向かってやって来た そして大きな口が・・ 「あーーーーー!」 「う!」ハゼオは目が覚めた 「大丈夫!」エビコの声 「オ俺はどうしたんだ!」 「1度タイ吉に飲み込まれたの、でもすぐに吐き出されたの」 ハゼオは思い出した・・そうタイ吉のお腹の中でえび太郎を見た。それは幻だったかもしれない。 でもハゼオを口の中から出したのはエビ太郎だ!そして{エビコを頼む!}と言って 「エビコさん・・・」 「ハゼオさん・・・」2人は初めて触れた! 「ハゼオさん、テント!無くなっちゃいましたね・・・・」 「・・・・」 「もしよかったら これからずっと一緒にいて欲しいな・・」 ハゼオは・・・泣いた!そして思った海の水がしょっぱいのは、いつも悲しいことばかりじゃなく、 うれしい事もいっぱいあるからだと ・・・おわり・・・ エビとハゼの共生です。 海には色んな物語があります。 今度海に潜る時は 気にして潜ってみて下さい! エビコとハゼオが仲良く暮らしていることでしょう。
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